デンマークの選挙での投票率について

 

下記表で見る通り、デンマークの国会議員の選挙での投票率は日本のそれと比較して高い。

 

その理由は何か、解り易く言えば、学校教育の中で政治への関心を高めるための教育を進めているためだと思います。

 

「国家」とは「国の家」と書き、「国」は国民の共同体で構成され、その住まいが「家」と理解する限り、「国家とは」国民全員の参加によって構成されるのが当たり前になっていると思います。そんなことで、国民の代表として国の舵取りをする人たちを選ぶ選挙において、国民の参加が多いほど「民主主義」の方向性が見えるのではないかと思るのです。

 

「民主主義」つまり「民」が「主」になって「主義」を作りだすという意味からして、国民の意見が政治(国家における政治とは、その国に住む人たちを統治すること)を通し反映されることになるから、その国を統治する政治家によって、住みづらい国にもなりまた住みよい国にもなるだけに、国民の選挙への投票が、政治の在り方に大きく影響していると思っています。

 

 

 

1. デンマークの国会議員の選挙への投票率推移と2015年の年齢別投票率


年代別投票率推移        2015年年齢別投票率

 

年代

投票率

 

年齢

投票率

1945

89.50%

 

18

83.70%

1988

88.40%

 

19-21

77.20%

1990

82.80%

 

22-29

79.20%

1994

84.30%

 

30-39

85.10%

1998

86.00%

 

40-49

87.80%

2001

87. 1 %

 

50-59

88.70%

2005

84.50%

 

60-69

91.20%

2007

86.60%

 

70-79

90.10%

2011

87.70%

 

80歳以上

不明

2015

85.80%

     

 

             

 

  ()被選挙権も18歳から

 

 

 

2.日本の衆議院選挙の投票率と20歳代の投票率推移

 

年代

投票率

20歳代の    投票率

昭和42

73.99%

66.69%

昭和55

74.55%

63.13%

平成2

73.31%

57.76%

平成8

59.65%

36.42%

平成12

62.49%

38.35%

平成17

67.51%

46.20%

平成24

59.32%

37.89%

平成26

52.65%

32.58%

平成29

?

?

 

 

 

平成26年の20歳年代の人たちの投票率が昭和42年のそれに比べ半分以下になっているのは何故か、恐らく(私の推察)高度経済成長期に生きた親たちが政治の大事さを子供たちに伝えていなかったこと、大学進学に重点を置き過ぎたこと、などの理由で、子供たちが成人した後でも政治への関心を持たなくなったのではないかと考えています。

 

よって、投票率への改善方法は、子供を持つ親や教育の現場にいる人たちが、「民主」の重要性を告げ、投票に行くことを強く勧めることだと思います。

 

投票する人が解らないとか居ない、という人たちへのアドバスとして、年令の若い人に投票することだと思います。理由はその人たちに政治の在り方知ってもらうためのチャンスを与えるためです。デンマークが世界から幸せな国民と呼ばれている背景には、子供の時から政治に参加できる仕組みが出来ているためだと私は思います。そのことについて、参考資料を掲載します。

 

 

 

●「デンマーク青年評議会」に加盟する70団体

 

今日、この「デンマーク青年評議会」に加盟する組織は全部で70団体、メンバー数60万人と言われています。この中には例えば、義務教育中にある子どもたちを代表とするデンマーク生徒会、デンマークの高等学校に就学する生徒を代表するデンマーク高等学校組合、デンマーク職業学校生徒組合、8歳の年齢から加入し約3万人のメンバーを代表するデンマークガール・ボーイスカウト組合などとなっています。その他政党の青年グループとしては、デンマーク社会民主党青年部会(1920年設立、メンバー数2123名/2016年現在)、デンマーク保守党青年部会(1904年設立、メンバー数約1280人)、全国自由党青年部会(1908年設立、メンバー数3061名)社会主義人民党青年部会(1969年設立、メンバー数1180人)などが加わっています。

 

デンマーク青年評議会の運営管理は、文部省の監督下におかれ、活動資金の多くはロトやサッカー試合の売上金の中から出され、デンマーク青年評議会の加盟団体に支払った助成金額は2006年、11200万クローネ(約22億円)となっています。

 

 

 

●政党の青年部は、政治家のインキュベータ

 

特に政党の青年部会は政治家のインキュベーター(政治家を生む孵化器)といわれており、20094月まで約7年半、自由党と保守党の連立政権の首相を務め、同年44日付け北大西洋条約機構(NATO)の事務総長に任命されたアナス・F・ラスムセン(1953年1月生まれ)は自由党青年部会の会長を1974年から1976年に務めました。 また、200944日付けでアナス・F・ラスムセンの後任として首相に就任した元財務大臣のラース・L・ラスムセン(1964年生まれ)は自由党青年部会の会長を1986年から1989年に務めた人ですが、2015年の総選挙で首相職に就いています。

 

そして法務大臣を務めるブリアン・ミッケルセン(1966年生まれ)はデンマーク保守党青年部会の会長を1989年から1990年に務めた人です。 このほかデンマーク社会民主党青年部会の会長を務めた人の中には元首相を務めたイエンス・オ・クラウ、元外務大臣ペア・ヘッケロップ、元国防大臣ハンス・ヘッケロップがおり、現職では党のナンバー2とも言われているメタ・フレデリックセン、他にもヘンリック・S・ラーセンがいます。

 

このようにデンマークの青年評議会の加盟団体の中から数多くの政治家を送りだしているのです。近年の例では200967日、デンマークの欧州議会議員選挙で当選し、欧州議会議員数738名の中では最年少とも言われている、社会主義人民党青年部会会長を約1年務めたエミール・ツーエセン(当時25歳 女性)がいます。

 

 

 

以上の他に、デンマークと日本の政治における違いの中に、立候補する人たちのお金の問題があると思います。デンマークの政治においては、立候補する人たちは自己負担金が無く選挙に出られること、それと失職する必要がないことです。日本の国会議員選挙では、立候者は供託金として300万円を出すこと、以外に選挙にかかる諸々の費用(事務所員、ウグイス嬢などへの日当を含め)を含めると最低600万円相当のお金がかかると言われ、また、被雇用者は仕事を退職をしなければ立候補できないことになっているようです。つまり落選すると、投資したお金が失われ他、失業ということになります。そんなことで、政治に関与したい人たちでも、お金が無いから参加できない人が多く居るはずです。政治にお金がかかることを是正することで政治にかかわりたい人たちの「平等の可能性」が生まれるのではないでしょうか。

 

日本では20171022日衆議院議員の総選挙が実施され自由民主党が圧勝したようですが、今後日本の政治がどのような方向に歩むのか、注目したいと思っています。

 

20171028

 

デンマークウアンホイにて

 

スズキ